この度、日本トラウマティック・ストレス学会の会長就任にあたり、まずは御礼申し上げます。誠に微力ではございますが、学会の発展に尽力する所存であり、何卒よろしくお願いいたします。
さて、2002年3月に日本トラウマティック・ストレス学会も設立されて15年目になりました。年月が経ってもトラウマティック・ストレス学会に期待される活動の第一は実際の支援活動があげられます。16年前と比べ事件、事故、犯罪が増えており、求められる活動は、地域の支援活動のほか、設立当時には、専門家が不足していた、多くの課題の解決ができて、学会の運営も円滑に行われてきました。自然災害だけでなく、犯罪被害、さらに学校が被害者となる事件も多く経験されました。また、国外で困っている人たちのためには国内の人々が支援し、国内で困っている人たちについては、外国人も手を差し伸べてくださりました。学会の設立が期待され、援助は拙劣なやり方であったものの、分け隔てなく援助活動が推進されました。電話一本で、後方部隊が、支援の仕方を教え、心配りのある救援活動が当たり前でした。
また、最近必要性が迫られるものに若い後継者の育成や国際交流の必要性があげられており、これらについてもでき得る限り国際水準を目指して努力してゆこうと思います。 一方、研究面ではトラウマティック・ストレスの研究には多彩な側面のアプローチが求められており、神経生物学、臨床心理学、社会科学および倫理的な側面などの研究が必要です。そのほか、トラウマティック・ストレスに関連する研修などを推進する必要があります。
ところで近年には、DPATなど新規の援助活動もメンタルの面に焦点を与えた活動を始めました。今こそ、初心に戻って、学会の活動をもう一度見直すべき時が来たのではないでしょうか。これらの点を乗り越えて、ますます学会が盛会になるように活動してゆきたいと存じます。
何卒皆さんのご支援ご協力をよろしくお願いいたします。
2017年3月